不安のある物件を売ろうとするとき、ドアを開けて最初に交わす言葉がやけに重く感じますよね。私も玄関で「うまくいくだろうか」と手汗が止まらなかった一人です。この記事では、私の実体験をもとに、査定当日の実際の流れ、玄関で言われた3つの質問の意図と答え方、査定後の進め方までを深掘りします。会話型で「自分ごと化」しながら読めるように作りました。あなたの不安が、準備と理解に変わるはずです。
訳アリ物件の基本と不安の正体
訳アリ物件は「悪いもの」ではなく「情報に特性がある物件」です。事故歴、権利関係、建築制限、状態などの事情が、価格や売り方に影響する—それだけの話です。
- 定義の目安:
- 事故・事件歴: 室内での死亡、事件、火災などの心理的瑕疵。
- 法的・権利: 再建築不可、借地、共有名義・相続未了、未登記。
- 物理的: 老朽化、雨漏り、シロアリ、ゴミ屋敷。
- 周辺・環境: 道路付けが悪い、騒音、近隣トラブル。
- なぜ不安になる?
- 値付けが見えない: いくらで売れるのか想像しづらい。
- 告知が怖い: どこまで言うべきか不安。
- 断られそう: 一般仲介で「難しいですね」と言われがち。
- 手続きが複雑: 名義や相続、測量などの用語が難しい。
- この記事の目的:
- 安心の設計図づくり: 当日の流れと質問の意図がわかると、緊張は半分になります。
- 答え方の型提供: 実例の言い回しで準備をラクに。
- 次の一歩: 売却可否の見立てと専門相談の使い分け。
補足リンク
- 事故物件の「告知義務」の考え方(国交省ガイドラインの参考解説): https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/chika-tekisei.html
- 再建築不可の基礎(接道要件・建築基準法の概説): https://www.mlit.go.jp/common/001468284.pdf
- 不動産の権利関係(登記の基本・相続登記の義務化): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00449.html
査定当日の流れの全体像
訪問から退出までのタイムライン
- 玄関(0〜5分):
名刺交換 → 用件確認 → 玄関での3質問の導入。ここで「目的」と「優先順位」を共有します。 - 室内チェック(10〜30分):
建物の状態確認(床・壁・天井・水回り、雨漏り痕、設備)、間取り・方位・採光、修繕履歴のヒアリング。 - 外回り・周辺(10〜20分):
接道状況・駐車スペース・境界の目視、近隣環境(騒音・匂い・日照)を会話で確認。 - 簡易まとめ(5〜10分):
概算レンジの口頭提示、売却方法の選択肢(仲介/買取)、必要手続きの見立て。 - 退出後(当日〜数日):
正式査定書の送付、方針提案、媒介契約や買取条件の打診。
担当者の雰囲気の見極めポイント
- 第一声の安心感: 「今日は状況を一緒に整理しましょう」のような共歩きの姿勢があるか。
- 説明の粒度: 専門用語にすぐ例えと図を添えてくれるか。
- 記録の丁寧さ: 写真の撮り方・メモの要点が的確か。
- 圧がないか: 即決を迫らない、比較を勧める余裕があるか。
ここでの自分への問いかけ
- 「私が本当に望む出口は?最短売却?手残り最大?」
- 「いつまでに現金化したい?その理由は?」
- 「修繕や片付けにかけられる手間や費用は?」
玄関で言われた3つの質問の深掘り
質問1:「この物件を売却されるご事情をお聞かせいただけますか?」
- 意図:
提案の優先順位の把握。スピード重視か、価格重視か、相続税や管理コストの圧縮かで「仲介」「即時買取」「買取再販」「現状渡し」などの打ち手が変わります。 - 答え方の型(例文):
- 相続: 「固定資産税と管理が負担なので、半年以内に現金化したいです。価格は相場レンジなら受けたいです。」
- 住み替え: 「新居の手付が決まっており、2か月以内に売却が必要です。多少安くてもスピード重視です。」
- 事故歴あり: 「室内での孤独死がありました。告知すべき情報はすべて開示します。現状渡しで検討したいです。」
- 注意点:
- 優先度を明確に: 価格>スピード>手間の順か、スピード>手間>価格か。
- 感情の背景も一言: 「近隣への配慮」「家族の意向」などは提案のトーンに影響。
- 即決の可否: 即決はしない旨を先に伝えると圧が下がる。
質問2:「名義や権利関係はどなたが管理されていますか?」
- 意図:
売却可否の土台確認。登記名義、共有者の同意、相続未了、抵当権、差押え、借地・地上権、境界未確定などは契約の障害になります。 - 答え方の型(例文):
- 単独名義: 「法務局の登記簿を取得済みで私名義です。抵当権はありません。」
- 共有: 「兄弟3人の共有です。売却の同意は2人は取得済み、1人はこれからです。」
- 相続未了: 「被相続人名義のままです。相続登記を進める予定ですが、並行して査定をお願いします。」
- 準備書類(最低限):
- 登記事項証明書(全部事項)
- 固定資産税の納税通知書(地番・家屋番号の確認に有用)
- 身分証・印鑑の用意(当日の契約は不要でも本人確認はある)
- 相続関係図(メモで十分)
- 注意点:
- 曖昧なら「確認後に連絡」でOK。 誤答するより正確さが大事。
- 共有者の同意は最重要。 一人でも反対なら仲介は難航、買取提案に切り替える選択肢も。
参考リンク
- 登記事項証明書の取得方法(法務省): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji10.html
- 相続登記の義務化と期限(法務省): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00449.html
質問3:「リフォームや修繕のご予定はありますか?」
- 意図:
販売戦略の分岐。現状渡しで買取か、軽微な修繕で仲介に乗せるか、フルリノベ前提でプロに売るかを見立てます。 - 答え方の型(例文):
- 現状渡し希望: 「費用と手間をかけずに現状のまま売却したいです。」
- 最低限の修繕: 「雨漏り箇所の補修は検討しますが、内装は現状のままです。」
- 片付けのみ: 「残置物は可能な範囲で撤去します。それ以外はお任せしたいです。」
- 数字の目安(体感値):
- 軽微修繕: 10〜50万円(クロス・水栓・簡易補修)。
- 中規模: 100〜300万円(キッチン・浴室更新、床張替え)。
- フル改修: 500万円〜(間取り変更、配管更新、外壁・屋根)。
訳アリの多くは「修繕費の割に価格上昇が限定的」。無理をせず、現状渡し+価格調整が合理的なことが多いです。
参考リンク
- リフォーム費用の概算記事(住宅系メディア): https://www.homify.jp/
- 残置物撤去の費用感(不用品回収の相場解説): https://mokkai.jp/
査定に備えるための事前準備チェックリスト
| 項目 | 目的 | 具体例 |
|---|---|---|
| 基本情報の控え | 住所・地番・家屋番号を即答 | 固定資産税通知書の写し |
| 登記事項証明書 | 名義・権利関係の把握 | 法務局で取得(オンライン可) |
| 売却の優先順位 | 提案の軸を明確化 | 価格>スピード か スピード>価格 |
| 告知事項メモ | 心理的・物理的瑕疵の整理 | 時期、内容、対処履歴 |
| 鍵・立ち入り | 室内確認をスムーズに | すべての居室にアクセス可能に |
| 写真準備 | 事前共有で精度UP | 雨漏り痕・設備・外観 |
| 共有者連絡 | 同意形成の見通し | 査定日前後の情報共有 |
| 質問リスト | 当日の逆質問 | 売却スケジュール、費用、媒介形態 |
現場チェックで見られるポイントの可視化
建物・室内
- 構造劣化:
床の沈み/壁のひび/雨漏り痕。小さな劣化も積み重ねで価格に影響。 - 設備の年代:
給湯器・キッチン・浴室の更新履歴。10〜20年未交換は減点要因。 - 衛生状態:
臭気・カビ・害虫の有無。心理的瑕疵との複合で印象差大。 - 残置物:
撤去コストの見積り(買い手が負担するケースが多い)。
外回り・周辺
- 接道状況:
道路幅員や位置指定道路の扱い。再建築不可の可能性を早期確認。 - 境界:
境界標の有無・隣地との越境。測量の要否は価格・期間に直結。 - 音・匂い:
工場・交通量・飲食店など、説明が必要な環境要素。
参考リンク
- 境界・測量の基礎(国土交通省・地籍): https://www.gsi.go.jp/
- 建築基準法の接道要件概説: https://www.mlit.go.jp/common/001468284.pdf
告知義務と「どこまで言うか」の実践ガイド
告知の原則
- 心理的瑕疵: 室内での死亡や事件・自殺は、購入検討者が通常知りたい情報。時期・場所・内容の要点を簡潔に。
- 物理的瑕疵: 雨漏り・シロアリ・設備不良は、現状と過去の修繕履歴を明示。
- 環境瑕疵: 近隣トラブル・騒音・臭気なども、実害があれば共有。
言い方のテンプレ(角が立たない表現)
- 事実ベース: 「◯年◯月、居室で孤独死がありました。特殊清掃を実施し、その後換気と消臭対応をしています。」
- 現状説明: 「◯◯の箇所で過去に雨漏りがあり、現状は止まっています。再発の可能性は否定できないため現状渡しです。」
- 環境: 「道路交通量が多く、日中は音が気になります。夜間は落ち着きます。」
補足リンク
- 不動産取引における告知に関するガイドライン(参考): https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/chika-tekisei.html
査定結果の受け取り方と売却戦略の選び方
価格提示の「レンジ」と「根拠」の読み解き
- レンジ提示: 例)「仲介なら◯◯〜◯◯万円、即買取なら◯◯万円」。
- 根拠の内訳: 近隣成約事例、路線価・公示地価、劣化の補正、リフォーム前提の調整、接道・再建築可否の割引。
- 訳アリ補正: 心理的瑕疵は一定の価格調整が入るのが通常。補正幅は時期・エリア・程度で変動。
売却方法の比較
| 方法 | メリット | デメリット | 向くケース |
|---|---|---|---|
| 仲介 | 高値狙い、市場露出 | 期間長め、内見対応の手間 | 訳アリ程度が軽微、時間に余裕 |
| 直接買取 | 最短現金化、手間が少ない | 価格は抑えめ | 早期資金化、重い訳アリ・残置物多 |
| 買取再販 | プロが再生して売る | 価格はさらに下がる | 大規模修繕が必要 |
| 現状渡し仲介 | 修繕不要で市場へ | 買い手限定的 | 片付けに時間をかけられる |
ここで自問
- 最重要は何か? 現金化時期?手残り最大?手間最小?
- 内見の可否は? 住みながら売るか、空室にするか。
- 家族合意は? 即買取は合意形成が早いほど進行が速い。
媒介契約の種類と、訳アリ物件でのおすすめ
| 媒介種別 | 特徴 | こんなときに |
|---|---|---|
| 一般媒介 | 複数社へ依頼可、競争が生まれる | 軽微な訳アリで広く当てたい |
| 専任媒介 | 1社のみ、報告義務あり | 信頼できる担当者が見つかった |
| 専属専任 | 1社のみ、自己発見取引不可 | フルサポートとスピード重視 |
- 訳アリ×仲介のコツ:
- 情報の一元管理: 告知内容はブレなく1つの資料に。
- 写真戦略: マイナス点は正面から示し、対策余地も併記。
- 反響管理: 問い合わせの質と数で方針を微調整。
参考リンク
- 媒介契約の基礎(不動産業団体の一般解説): https://www.zennichi.or.jp/
よくある懸念と回答(Q&A)
- Q: 事故歴はどこまで遡って言うべき?
A: 基本は「買主が通常知りたい情報」を時期・内容・場所で簡潔に。古くても室内での死亡事故は原則告知。迷えば担当者と文言を整えましょう。 - Q: 再建築不可は売れない?
A: 売れます。価格は抑えめでも、投資・簡易改修・利便性で需要があります。接道改善や隣地交渉は専門家の領域。 - Q: 残置物が大量に…片付け必須?
A: 直接買取なら「残置物そのまま」での受け入れが可能な会社も。仲介なら最低限の撤去で印象改善。 - Q: いくらで売れるか全然読めない
A: 査定は「レンジ」で受け止め、方法別の手残りと期間を比較。市場公開が苦手なら買取見積も同時取得が安心。
実体験からの重要ポイント(玄関〜契約まで)
- 玄関の3質問で「出口設計」が固まる:
理由・権利・修繕方針の3点が揃うと、提案が一気に具体化しました。私は「半年以内に現金化」「現状渡し」「相続未了は同時進行」を伝え、仲介と買取の両にらみの提案を受けられました。 - 「確認して連絡します」は武器:
権利関係や告知の詳細は、その場で無理に言い切らない。正確さ>スピードです。 - 写真の準備は効果絶大:
雨漏り箇所・設備の型番・外観・近隣の状況写真を事前共有すると、当日の滞在が短くなり査定の精度が上がります。 - 即決しない姿勢が信頼につながる:
「比較検討します」「家族と相談します」を最初に明言。押し込み営業が弱まり、丁寧な資料をもらえました。
次のステップ:専門業者の使い分けと紹介
訳アリの度合いが高い、またはスピード重視なら、専門店への同時相談が合理的です。一般の仲介で断られるケースも、専門店なら「現状渡し」「残置物そのまま」「相続未了の並走」まで視野に入ります。
- 専門相談のメリット:
- 即現金化の選択肢: 最短で資金化、税務・相続の並走支援があることも。
- 現状受け入れ: 片付け不要、修繕不要の提案。
- 心理的瑕疵の経験値: 告知文言や販売戦略の最適化。
- 参考情報提供:
訳あり物件の専門店【ラクウル】
事故物件、再建築不可、相続未了などへの対応事例があり、「現状のまま売れる可能性」を具体的に知るのに役立ちます。まずは情報収集としてチェックするのがおすすめです。
図解:当日の会話フロー(簡易ダイアグラム)
[玄関] 目的共有
├─ 売却理由(価格/スピード/手間の優先)
├─ 権利関係(名義/共有/相続/抵当)
└─ 修繕方針(現状渡し/軽微/片付けのみ)
[室内・外回りチェック]
├─ 劣化・設備・衛生
├─ 接道・境界・近隣環境
└─ 告知事項の事実確認
[当日まとめ]
├─ 概算レンジの提示
├─ 仲介/買取の選択肢
└─ 必要手続きの見立て
[後日]
├─ 正式査定書
├─ 媒介契約 or 買取条件
└─ スケジュール確定
価格と期間の「現実的な組み合わせ」例
| 優先軸 | 想定戦略 | 価格感(相対) | 期間 | 手間 |
|---|---|---|---|---|
| スピード最優先 | 直接買取(現状渡し) | 低〜中 | 最短1〜3週間 | 極小 |
| 手残り最大 | 仲介(最低限片付け) | 中〜高 | 1〜3か月+ | 中 |
| 手間最小 | 専門店一括相談 | 中 | 2〜6週間 | 低 |
| 相続並走 | 相続登記+買取打診 | 中 | 1〜2か月 | 中 |
実務では「価格」「期間」「手間」の3つは同時最大化できません。優先順位を決めると、迷いが減ります。
よくあるつまずきへの予防線
- 共有者が最後に反対:
事前合意形成を最優先。査定の前に「売却方針の原則合意」をメッセージで交わす。 - 境界トラブルが発覚:
担当者に測量・境界確認の要否を早期相談。価格・期間へ影響するため前倒し。 - 告知文言が怖い:
「事実ベース+対処履歴+現状渡し」で整える。誇張も過少もNG。 - 残置物の山:
片付けはコスト対効果で判断。買取会社は「そのままOK」のことも多い。
結論:玄関の3質問は「出口設計」のスイッチ
- 学び:
- 売却理由は羅針盤。 価格・期間・手間の優先を明確化。
- 権利関係は路面状況。 登記と同意で通行可能に。
- 修繕方針は燃費調整。 無理は不要、現状渡しで十分なケースが多い。
- 前向きなメッセージ:
訳アリでも売却はできます。むしろ特性が明確なほど、最適な売り方が見つかります。不安は「情報」と「準備」で味方にできます。 - 次の一歩(提案):
- 今日やること: 登記事項証明書の取得/告知事項メモの作成。
- 今週やること: 査定の申込み(一般仲介+専門店のダブル)。
- 情報収集: 訳あり物件の専門店【ラクウル】をチェック(情報提供)。


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